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2025/08/25 15:58


ホテルムーンビーチ ― 沖縄モダンリゾート建築の原点

建築時期

ホテルムーンビーチは、1975年(沖縄国際海洋博覧会開催の前年)に開業しました。
当時まだ沖縄には「リゾートホテル」という概念が定着しておらず、本格的なリゾート建築の先駆けとして建てられた存在です。


コンセプト

「自然と建築の一体化」が設計のテーマ。
ムーンビーチという美しい弓なりの湾をそのまま活かし、建物そのものが風景に溶け込むデザインを追求しました。
室内にいても外の海や光を感じられる、開放的なリゾート体験を目指した建築です。



デザイン的に良い点

  • アーチ構造の建物:三日月形のビーチに沿って、客室棟がカーブを描くように設計されており、どの部屋からも海を眺められる贅沢なつくり。

  • 吹き抜けの大空間:中庭のような吹き抜けロビーは、光と風を通し、沖縄の自然を内部に取り込む役割を果たしています。

  • 素材と色彩:白を基調とした外観は、沖縄の強い陽射しを受けて輝き、周囲の青い海とコントラストを生み出します。



デザイン的に悪い点

  • 経年劣化が目立つ:1970年代の鉄筋コンクリート建築のため、塩害や湿気の影響で外壁の老朽化が見えやすい。

  • 動線の複雑さ:アーチ状の建物ゆえに、客室までの移動がやや長くなる点が宿泊者からは不便と感じられることも。

  • 現代的な設備とのギャップ:最新のラグジュアリーホテルに比べると、部屋や設備のアップデートが追いついていない部分もあります。



ヴィンテージ建築としての魅力

とはいえ、ホテルムーンビーチは**「沖縄リゾート建築の原点」**として価値を持ち続けています。
築50年近く経つ今も現役のリゾートホテルであり、ヴィンテージ建築の魅力=経年美を体現。
古さではなく「歴史の積み重ね」が、訪れる人に懐かしさと特別感を与えます。

1970年代当時のリゾート建築の空気感をそのまま味わえるのは、このホテルならでは。
現代の洗練されたリゾートにはない“温かみ”を感じられるのが、ムーンビーチの最大の魅力です。




ジュエリーに「オールドティファニー」があるように、建築にも「ヴィンテージの価値」が存在します。
ホテルムーンビーチはまさにその象徴。
時間とともに風合いを増し、時代を超えて愛され続ける建物は、私たちが大切にする“時を経ても色褪せない魅力”そのものです。