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2025/10/12 17:57

かつてティファニーが、ニューヨークの喧騒から遠く離れたイタリアの工房で生み出した一本のブレスレット。

シルバーとゴールドのコンビが織りなすその姿は、時を経た今なお「結び」の象徴として輝きを放っています。

今回は、ティファニーの中でもごく短い期間しか製作されなかった希少作。

ファンの間では“幻の一本”と呼ばれる《サンチュール ブレスレット》の物語を紐解いてみました。



腕にまとう“帯”の記憶

ティファニー サンチュール ブレスレットの物語

古い箱を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、光と影が編み込まれたような一本のブレスレット。
スターリングシルバーの冷ややかな輝きに、ところどころ小さく寄り添うように金の帯が走る。
それが、ティファニーが1970年代に手がけた「サンチュール(Cintur)」ブレスレット。


“サンチュール”という名が示すもの

サンチュールとは、フランス語で「ベルト」や「帯」を意味していて、三つ編みのように密に編み込まれたチェーンは、人と人、時と時を結ぶ“帯”そのもの。
金のパーツは、まるで帯留めのように動きを静かに整え、美しさを引き締める印象がある。


1970年代、ティファニーの静かな革新

この時代、ティファニーはアメリカの伝統的デザインを離れ、イタリアの職人技術を取り入れた新しい表現を模索していた。
このブレスレットも、そんな時代に誕生したアートピースのひとつ。

シルバーにゴールドを組み合わせ、柔らかさと強さを共存させる構造は、まさに当時の挑戦の証だった。


職人の手跡が残る、唯一無二の構造

留め具をよく見ると、ベルトの尾錠のようなヒンジ構造が仕込まれている。
実用品としての精密さと、装飾品としての造形美が見事に融合した意匠。
磨かれた金属面には、微かに職人の指の動きが残り、その温度が時を超えて今も感じられる。


幻のブレスレットとなった理由

1980年代以降、ティファニーは再びニューヨーク本社主導のモダンデザイン路線へ。
イタリア製の繊細なチェーンは姿を消し「サンチュール ブレスレット」はわずか数年しか生産されなかった。
それが今では、ファンの間では“幻の一本”と呼ばれる理由である。


結ぶというアート

銀と金が絡み合うその姿は、異なる文化や価値観が共に響き合う象徴のよう。
マーヴェリックタウンが掲げる「永遠に愛されるものを届ける」という理念と同じく、このブレスレットもまた、時間と想いを結び続けている。


|腕に宿る、記憶の帯

ジュエリーは、想いを留める器。
誰かの手首を包んだその瞬間から、物語が始まっている。

ティファニー《サンチュール ブレスレット》
それは単なる装飾品ではなく時間を結ぶ帯そのもの。